
心中の或るヴィジョンをキャンバス上に引っ張り出そうと、或る画材を手にして描き倒す。
或る時遂に、ヴィジョンが絵具のか黒鉛のか白墨のか何某かの衣を纏い、可視のものとなって画面に立ち現れる。
やった!方法論を確立した!
そうなるともう早くそこから離れねば!
後はルーティーンになって惰性になって、当初創造そのものであった同じ行為が、今度は創造性を食い潰す。
何たるパラドックス!何という切なさ!
それでも自分で書いた教科書を読み返すより、新しいページを書き出したい。
しんどくとも、また一から始めよう。次なるヴィジョンと向き合い、まっさらなパレットを握り締めて。
絵を描く行為は、永遠の積木崩しだ。
しかし
カミュは言った。『頂上を目掛ける闘争ただそれだけで、人間の心を満たすのに充分足りるのだ。今や、
シーシュポスは幸福なのだと想わねばならぬ。』
俺も英雄的に石を積み上げるぞ!
スポンサーサイト