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2019/06/25 (Tue) 一週間前
2019/06/05 (Wed) 『船団』第121号

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恩師の三谷祐幸さんが言った。
「山本君、絵はバイオリンみたいなものですよ。」

バイオリンは、左手で音符の位置を決定し、その選択の連続が旋律を紡ぐ。
一方、右手は実際に音色を発生させる。
歌手における発声だ。
初心者の右手に握られた弓は鋸に堕し、卓越した演奏家のそれは、一秒動くだけでそうと分かる、心地好い音を響かせる。

具象画は二元性を有する。
例えばチューブから絞られたままの絵具、油でお汁状に溶かれた絵具、どんなキャンバスにどんな体に引っ付き、どんな風に発色しているか。
或いは、凸凹の紙に浅く乗った木炭、目の奥まで入り込んだ木炭、それらが織り成す様々なグレーのハーモニー、質感のバラエティー。
つまり、画材の、物質自体としての美しさ。
そして、その集積が何を表しているか、意味しているか。
絵では渾然一体となっているが、本来、前者(物質性、マチエール)と後者(意味性、モチーフ)には関わりが無い。
多くの抽象画は前者に特化していると言えるだろう。
前者がバイオリンの右手、後者が左手に当たるというわけだ。

このブログも『裸婦との声無き対話』と題しているが、これまで僕は、モチーフと僕の間に時折起こる化学反応だけを頼りに描いて来た。
結果、しばしばモチーフに圧倒され、意味性の奴隷となり、“僕が描いた、僕のものではない絵”という感触を覚えた。
或いは逆に、発火した感情をコントロール出来ず、色が色を塗り潰し、形が形を覆い隠し、混乱し、破綻し、化学反応の刻印に失敗した。
絵であるにも拘らず、目前のキャンバスにちょっと無頓着だった。

一歩立ち止まって、気持ち良く絵具を乗っけよう。
これが僕の乗せ方だ、僕の発声法だ。
一筆一筆、キャンバスとしっかり対話して。

上の自画像は“右手”を強く意識して描いた最初の作品。
現在京都市美術館で開催中の京展に出品しています。

京展2011
【会期】2011年6月14日(火)~6月30日(木)
【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
【休館日】毎月曜日
【会場】京都市美術館
【住所】京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)
【交通案内URL】http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/information/access.html
【TEL】075-771-4107
【入場料】大人900円(800円)、高大生600円(500円)、小中生400円(300円)、( )内は20名以上の団体料金。京都市内在住の70歳以上の方(敬老乗車証等で確認)、障害者手帳提示の方、京都市内小中高生は無料。


Gidon Kremer-Bach,Ciaccona



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